【カンボジア指定募金】第1次報告書:ご支援による成果(2020)
皆様のご支援による成果(2020)
皆様からお寄せいただいた「暴力と虐待からカンボジアの子どもたちを守る」指定募金により、2020年には以下のことが実施できました。
活動1:教員向け研修「ポジティブ生徒指導法」の実施

©UNICEF Cambodia
新型コロナウイルス感染防止のため学校の閉鎖や中断が数か月間続き、新型コロナウイルスへの対応を優先しなければならなかったことから、2020年内にポジティブ生徒指導法に対する教員研修が予定通り実施できませんでした。新型コロナウイルス感染状況がより政府によってコントロールされてきたことから、2021年初頭より教育・青少年・スポーツ省による研修を再開することができております。(2021年の成果は次回の「第2次報告書」に反映予定です)
活動2:保護者向け研修「ポジティブ子育て法」の実施
コロナ禍での学校の休校や保護者の経済的不安の増大などで、保護者のメンタルヘルスが損なわれると、子どもたちへの暴力のリスクが高まる可能性があるため「ポジティブ子育て法」の研修が重要な役割を果たしました。
【2020年の成果】
- ■プログラムは順調に進捗し、6つの州(プノンペン、バッタンバン、シェムリアップ、プレアシハヌーク、カンダル、ラタナキリ)の1,248人の保護者が女性省による研修(レベル1)を受講し、2,674人の子どもたちがその恩恵を受けました。
- ■女性省は、ユニセフの支援を受けて(レベル3)の研修を試験的に実施し、国や地方自治体から政府職員と現地NGO職員25人が参加しました。その結果、レベル3の研修ツールキットが完成し、承認を得るため女性省の上級管理職に提出されました。
|

©ICS-SP/2020/Chhay
※研修は3段階を想定しており、
(レベル1)…はすべての保護者が対象。
(レベル2)…子どもが暴力や不必要な家庭内別居の危険にさらされている脆弱な保護者が対象。
(レベル3)…子どもが暴力や不必要な家庭内別居を経験している脆弱な保護者が対象。
これまでのユニセフの活動で(レベル1)(レベル2)までのツールキットは製作されていましたが、最も脆弱な家庭へのアプローチとなる(レベル3)のツールキットの製作と研修が、皆様の募金により実現します。また、女性省はコロナ禍によるリスク増の可能性から、メンタルヘルスと心理社会的支援に関する追加研修をポジティブ子育て法に組み込みました。「この困難な時期に、追加研修が行われたことは非常に貴重なものであった」とポジティブ子育て法講師(カンテウ・コミューン第二首長)はふり返ります。
現地のストーリー 「ポジティブな子育て法がもつ力」
~コロナ禍で親や教員向けの”子どもにやさしい子育ての研修”が重要な役割を果たしました~
(バッタンバン発、2020年12月)10歳のヴァン・ニザさんは12月のある日の午後、バッタンバンの田舎にある小さな木造の家で勉強しようとしています。COVID-19が再度流行し、カンボジア全土で学校が閉鎖されていたので、彼女は家に留まらねばなりません。彼女の祖母、母、叔母、いとこや兄弟を含む親戚が常にいっぱいいる小さな家で集中するのは難しいものの、ニザは母親にサポートされていると感じています。「母がいつも時間を見つけて宿題を手伝ってくれます。」とニザさん。

自宅でメンタルヘルスと心理社会ケアのリーフレットを読むマンカック君(左)、ヴェイさん(中央)、ニザさん(右)
©ICS-SP/2020/ Chhay Vivodin
ニザさんの母親である36歳のヴェイさんもまた、学校からしっかりとサポートされていると感じています。自分たちで解けない難しい宿題が出たときは、学校の先生はいつでも手を差し伸べてくれました。ニザの学校の先生であるサムボス・ビボル氏は、これが事実であることを証明してくれます。「はい、ニザのお母さんは、いつも私に頼ってきてくださる親御さんの一人で、子どもがどんな学習困難に直面しても、乗り越えられるようにサポートしてくれています。」彼の笑顔から明らかなように、ビボル氏は、親や保護者の方が頻繁に連絡をくれたり、子どもたちの成績が良くなったり、提出期限通りに宿題が提出されたりと、ポジティブな結果が得られたことを喜んでいました。
これは、コロナ禍に親と教師が協力して子どもの教育をサポートする完璧な事例と多くの意味でいえます。しかし、ここまで来るのには多くの努力を要しました。今年の初め、ニザと母親のヴェイさんにとって、生活は困難を極めていました。
ヴェイさんは、2020年にタイへの出稼ぎ労働者となり、自国よりも高い給料を求めて海外で働く数万人のカンボジア人の1人となりました。しかし、コロナ禍の影響で雇用主が廃業し、ヴェイさんはストレスと将来への不安を抱えながらカンボジアに戻ってきました。時には厳しい言葉や身体的なしつけで子どもたちを叱ることもあり、結果として子どもたちを苦しめていたと告白しました。ヴェイさんは「子どもたちへの否定的な接し方、古い悪い習慣や悪い態度でした」と悔しそうに思い出していました。
状況が好転したのは2020年半ば、地元のNGO「Improving Cambodia’s Society through Skillful Parenting (ICS-SP)」が主催し、ユニセフの支援を受けた子育てスキルに関する研修に参加したときでした。これは、2017年から運営されている女性省(MoWA)の「ポジティブ子育て法」プログラムの一環で、コミュニティでのグループごとを対象に一連の研修セッションを通じて、親や保護者に子育ての仕方のサポートを提供することを目的としています。特に、カンボジアでは50%もの子どもに暴力を受けた経験があることがいくつかの研究で明らかになっており、子育てにおける暴力をなくすことを目指しています。研修では、親や保護者は、身体的・精神的暴力を含むさまざまな形態の暴力によって引き起こされる被害について学びました。また、このような暴力的な手段を使わずに、子どもたちとポジティブで良好な関係を築くための様々な方法についても紹介されました。
この研修に参加した後、ヴェイさんはこの手法を広める熱心な提唱者となりました。「親としての自分の役割と責任について、多くのことを学びました。それ以来,子どもの話を聞き,注意を払い,教え,一緒に遊び,宿題をサポートする時間を増やすようになりました。」 これらの優れた子育てのスキルを自分の子どもと実践するだけでなく、親戚や近所の人たちにも共有し、暴力的なしつけはやめるように指導しました。
 🄫UNICEF/PositiveDiscipline/Llaurado-72
体罰で指導する代わりにカードを使う教員。
ニザの教師であるビボル氏は、2018年に行われたポジティブ生徒指導法の研修に参加し、自分の指導方法を変えたと述べています。同氏は、過去には教室で厳しい態度をとることもあったことを認めています。例えば、質問に答えられない生徒に怒鳴ったり、他の生徒が正しい答えを出せるまでその生徒を立たせるなど、恥ずかしい思いをさせるような指導を行っていました。
ポジティブ生徒指導法と効果的な授業運営についての研修を受けた後は、より子ども中心で子どもにやさしい学習の実践に力を入れています。今では、これまでの伝統的な教え方とは全く違った教え方をしています。私たちは、生徒が教室で安全で快適に感じられるようにしています。私たちは “イエローカード “や “レッドカード “を使って、誤った行動をした生徒にやさしい形で警告を与えています。 今、出された問題の答えがわからない生徒がいたら、ビボル先生は罰を与えるよりも、コーチングして励ますようにしています。 |
カンボジアの子どもが暴力のない中で育ち、将来への夢と希望が持てるよう、皆様の温かいご支援をお願いいたします。
全国の郵便局(ゆうちょ銀行)からご送金いただくことができます
口座名義 公益財団法人 日本ユニセフ協会
郵便払込口座番号 00190-5-31000
備考 通信欄に神奈川県ユニセフ協会コード「K1-140」「11067カンボジア子ども保護」とご記入ください。 |
*手数料については、加入者負担あるいは免除となっております。
振込用紙が必要な方は、窓口専用・送料加入者負担の振込用紙をお送りしますので、当協会までご連絡ください。
*ATMおよびゆうちょダイレクト(パソコン、携帯、電話、FAX)では送金手数料が免除となりませんのでご注意ください。
*領収書は、約2週間後日本ユニセフ協会から送付されます。税金控除の対象になりますので、領収書は大切に保管してください。