「児童婚を終わらせる」ガーナ指定募金 事業報告

皆様からお寄せいただいた「児童婚を終わらせる」ガーナ指定募金について、2025年度の事業報告を致します

お寄せいただいた募金額

送金計画

(米ドル)

目標金額

(1$149円換算)

実績(円) 実績(ドル) 換算レート

1ドル=円

2024年 108,000 16,092,000 17,846,981 115,927.13 153.95
2025年 108,000 16,092,000 20,078,182 131,092.86 153.16
2026年 108,000 16,092,000
2027年 108,000 16,092,000
2028年 108,000 16,092,000
540,000 80,460,000 37,925,163 247,019.99 153.53

 

ユニセフ・ガーナ事務所より、「第1次報告書」が届きましたので、以下に概要を掲載します。

ユニセフ・ガーナ事務所 子どもの保護プログラム

ガーナにおける児童婚根絶のための行動の強化

第1次報告書 SC250105 2026年1月

  • ●報告期間 2025年1月1日~2025年12月31日
  • ●報告日   2026年1月31日
謝辞
ユニセフ・ガーナ事務所は、神奈川県ユニセフ協会を通じたあたたかいご支援に対し、心からの御礼を申し上げます。
ご支援は、ガーナにおける児童婚根絶のための取り組みを進めるうえで、不可欠な役割を果たしております。ご支援により、安全なスペースやライフスキル教育を通じてもっとも取り残されている思春期の女子たちをエンパワーするとともに、親や保護者、コミュニティの伝統的/宗教的指導者の取り組みを推進し、協力的でジェンダー平等な環境を生み出すことができるようになりました。皆さまの揺るぎないご支援とパートナーシップがなければ、これらの成果は実現し得ませんでした。
このご支援は極めて重要です。児童婚は、女子の教育、健康、保護、そして将来の機会を損ない、貧困と不公平の連鎖をもたらすためです。皆さまのご支援は、こうした成果を可能にしただけでなく、子どもたちにとって、保護的でジェンダー平等な環境をつくるうえでの重要な基盤となり続けています。
今後とも変わらぬご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

1.国内の状況

ガーナは、児童婚の根絶に向けて、大きな前進を遂げてきました。20-24歳の女性のうち、18歳未満で結婚した、あるいは、婚姻状態になった女性の割合は、1980年代には約40%でしたが、2022年には16.1%へと減少しました。15歳未満の児童婚の割合は、長年にわたり5%前後で推移していましたが、近年の取り組みより、この数値も2022年には3.3%へと減少しました。

こうした前進の一方で、6人にひとりの若い女性がおとなになる前に結婚させられています。児童婚は、農村部に暮らす女子、貧困家庭の女子、教育の機会をほとんど受けられていない女子に、その傾向がより強く現れており、農村部、特に北部3州(北部州、北東州、サバンナ州)では28%、東部州では23%と依然として高い割合が続いています。教育・保健・衛生など複数の基本分野での欠乏が重なる“多次元貧困”も非常に深刻で、北部地域では、86.6%の子どもたちが、基本的な社会サービスへ十分アクセスできていません。ここ3-4年にわたる急激な物価上昇の影響により貧しい脆弱な家庭に重い負担がのしかかり、より多くの家族が絶対的貧困状態に陥り、女子に対する児童婚の危険も高まっています。

ガーナでは、思春期の妊娠は、児童婚の原因であると同時に結果でもあります。北東州は、もっともその割合が高い州で、15-19歳の女子の24%が妊娠を経験しています。東部州および北部州で比較的その割合が高く、14%となっています。こうした調査や統計からも明らかなように、北部地域州および東部州は、児童婚の根絶に対してもっとも取り組みが必要な地域であり、たとえば、北部地域では、2030年までに児童婚を根絶させるためには、過去10年間の進捗速度と比べて20倍のスピードで取り組みを進める必要があるとされています。

 

2.支援プログラムの目的と期待される成果

本プログラムは、進捗が遅れている3州(北部州、北東州、東部州)において、2029年まで、児童婚をなくすための国家的な取り組みを加速させることを目的としています。ユニセフ・ガーナ事務所は、ガーナ政府とNGOパートナーと連携し、以下の活動を実施します。

  1. a) 最も脆弱な立場にある思春期の女子6000名のエンパワーメントを目的とした集中的かつ継続的な支援を提供する。
  2. b) 30,000人の親や保護者、伝統的/宗教的指導者およびコミュニティの住民と児童婚や思春期の妊娠を含む子どもの保護について振り返りと気付きを促す対話を実施し、思春期の女子を支える支援的でジェンダー平等な環境を形成する。

 

3.主な成果と関連する活動

ご支援は、ユニセフ・ガーナ事務所とそのパートナーが、児童婚の危険にさらされる思春期の女子のための以下の取り組みの対象範囲と規模の拡大を可能にします。

・ “思春期の子どもたちの安全な居場所(スペース)づくり(PASS:Promoting Adolescents Safe Spaces)”プログラム、および

・ “子どもの保護を進めるコミュニティ・ファシリテーションツールキット(CP Toolkits:  Child Protection Community Facilitation Toolkits)”

本報告書の対象期間中、1,230名の女子を対象として特定、正式にプログラムへ登録し、安全なスペースでライフスキルや生殖健康に関する教育を提供できるようになりました。また、CP Toolkits を活用し、7,200名の親や保護者、伝統的/宗教的指導者やコミュニティの住民が双方向的な対話に取り組んでおり、思春期の女子の保護に対する積極的な態度や実践が促進されています。2023年に提出した本プログラムの提案書において、ユニセフ・ガーナ事務所は、当初、3州の合計1,200名の女子を対象とし、これまでのパートナーNGOと連携しながら、北部州、北東州の新しいコミュニティにおいてPASSプログラムを実施するとともに、東部州においてもPASSプログラムを拡大実施する予定でした。しかしながら、世界的に国際協力への資金が急速に減少するという事態を受け、ユニセフ・ガーナ事務所は、戦略全体を見直し、システム強化を優先するアプローチに再構築しました。その結果、東部州での取り組みについては、ガーナ政府との既存の連携のうえで、CP Toolkits を活用することとしました。これは、取り組みの質を確保しつつ、持続可能性を強化することにつながると考えています。

 

活動 1:最も脆弱な立場に置かれている思春期の女子のエンパワーメント

最も脆弱な立場に置かれている思春期の女子のエンパワーメントご支援により、北部州、北東州の10-19歳の女子480名が対象者として特定・登録され、PASS(思春期の子どもたちの安全な居場所づくり)プログラムを通じて、ライフスキルと生殖健康に関するカスタマイズ可能な対面型の教育(31時間)を受けられるようになりました。プログラムはユニセフ・ガーナ事務所とNGO(NORSAAC)とが連携して実施します。PASSプログラムは、もっとも脆弱な環境にある思春期の女子が、結婚や性や生殖に関わる健康に関して、きちんと情報を知らされたうえで自ら意志決定や選択をできるようになることを目指しています。対象には、妊娠中やすでに出産した女子、学校に通えていない女子や障がいのある女子などが含まれます。次年度にはさらに多くの女子が特定・登録される予定です。現在登録されている対象者は、2026年の第3四半期の終わりまでに、すべてのセッションを完了する見込みです。さらに、ご支援により、東部州の対象に特定された750名の女子が、CP Toolkitsを使ったライフスキルと生殖健康に関する一連のグループセッションに参加します。2026年4月末までに、州の社会福祉・コミュニティ開発局のもとで、訓練を受けた社会福祉・コミュニティ開発専門官によってセッションが開催される予定です。セッションを通じて、さまざまな知識やスキルを身につけるとともに自身の権利に関する意識を高め、必要なサービスにつなげることが期待されています。

ジェンダーの役割をテーマにした、安全なスペースでのセッションに参加する思春期の子どもたち(男子・女子)©UNICEF/2024/Choi 児童婚への反対を伝えるために描いた壁画を紹介する思春期の女子たち ©NORSAAC/2025

 

活動2:思春期の女子を支援するジェンダー平等な環境づくりのためのコミュニティの取り組み

補助的な資金提供を受け、ユニセフ・ガーナ事務所は、報告期間中に、男性と男子の参加、緊急事態下の子どもの保護、性的搾取・虐待からの保護、メンタルヘルスおよび心理社会的支援、子育て支援、さらに児童労働の分野で、新たに生じている課題や重要なニーズに対応するためのターゲットを絞った新しい教材を最終化し、展開しました。これらのツールを実践レベルで運用に落とし込み、現場で活用できるようにするため、トレーナーのトレーニング(ToT)が実施され、政府機関や市民団体、民間セクター、開発パートナーなどから167人の関係者(88名の男性、79名の女性)が参加しました。これらの基盤的な投資により、国や自治体の対応力が強化され、地区レベルで体系的な段階的研修(カスケード型研修)を主導できる研修担当者層が育成されました。

有害な性別に関する規範について男性や男子との取り組み(於:東部州イロ・クロボ郡アクセ)

©UNICEF/2025/DCD/ER

有害な性別に関する規範について男性や男子との取り組み(於:東部州イロ・クロボ郡アクセ)

©UNICEF/2025/DCD/ER

コミュニティでの取り組みに活用されている子どもの保護に関するコミュニティ・ファシリテーションツールキット(CP Toolkits)

©UNICEF/2025/ODAME

 

思春期の女子と、ジェンダーの役割やステレオタイプに関するコミュニティの取り組み

©UNICEF/2025/DCD

思春期の子どもたちとメンタルヘルスと心理社会的支援に関する取り組みのようす

©UNICEF/2025/DCD

親や保護者との思春期の子どもの保護に関するコミュニティでの取り組みのようす

©UNICEF/2025/DCD

 

4.課題

  • ●補助的な資金(Impact Catalyst Fund)と児童婚根絶のためのグローバルプログラムの支援を受け、2023年の提案書提出後、2024年にPASSプログラムの効果測定が開始されました。インパクト(長期的影響)とアウトカムレベルの成果を測定するための評価は現在も続いており、プログラムの全国的な拡大に向けて、実施体制とアドボカシーの双方を強化することを目的にしています。準備に直接的な管理の範囲外にある多くの工程を要したため、PASSプログラムの実施はやむを得ず遅れました。結果の信頼性と方法論的な厳密性を確保するため、調査員の研修やベースライン調査データの収集、介入地域と対照地域となるコミュニティの選定・確定に想定よりも時間を要したためです。しかし、これらの重要なステップを成功裡に完了することができ、綿密なモニタリングの実施体制を整え、これ以上の遅れが出ないようにプログラムを確実に進めるための技術的支援も提供できるようになりました。
  • ●活動の開始は当初の想定よりも遅れました。というのも、CP Toolkitsの新しい内容の最終化 や、ファシリテーターの養成にさらに時間がかかったためです。これは活動の質を担保するために必要でした。こうした準備は非常に重要なものですが、当初の計画よりも時間を要することになりました。しかし、すべてのプロセスが完了したため、現在、2026年には活動を加速できる体制が整っており、元の計画のスケジュールに戻せる見込みです。

 

5.今後に向けて

ユニセフ・ガーナ事務所は、さらにガーナ政府と市民社会を支援し、以下のアプローチを通じて、思春期の女子を支援します。

  • ●北部州・北東州における PASS プログラムの実施を加速すると同時に、効果測定によってエビデンスを生成し、実施戦略および全国への拡大実施戦略を強化します(2027年完了予定)
  • ●各地区レベルで“子どもの保護コミュニティファシリテーションツールキット(CP Toolkits)”に関する研修を実施し、コミュニティ・ファシリテーターが、効果的な取り組みや対話、支援的な環境の醸成、思春期の女子に対するジェンダー平等の環境整備などを進めていけるようにします。対象3州における推定6,750名の親や保護者および450名の伝統的/宗教的指導者に、働きかけが行われる見込みです(2026年4月まで)。
  • ●伝統的首長や、クイーンマザー(女性の伝統的指導者)、オピニオンリーダーや宗教指導者との関与を強化し、対象コミュニティにおいて、児童婚や有害な慣習を終わらせる取り組みに対する継続的なコミットメントとリーダーシップを確保します。
  • ●CP Toolkitsを活用し、コミュニティでの活動の報告や文書化を改善し、適応的なプログラムの実施に役立つ、タイムリーで質の高い統計を得られるようにします。
ページトップ