【カンボジア指定募金】第2次報告書:ご支援による成果(2021)

皆様のご支援による成果(2021)

皆様からお寄せいただいた「暴力と虐待からカンボジアの子どもたちを守る」指定募金により、2021年には以下のことが実施できました。

活動1:ポジティブ生徒指導法に関する教員研修の実施

©UNICEF Cambodia/2021/Antoine Raab

ポジティブ生徒指導法は、新型コロナウイルス感染症の流行による学校の長期閉鎖(3月22日~9月30日まで)のため、引き続き2021年も活動が困難でした。

しかし、ユニセフ・カンボジア事務所は、比較的感染が落ち着いていた2021年1月と12月に600人の小学校教員に対象に研修を行い、また2万人の子どもたちがその恩恵を受けることができました。

 

 

 

活動2:ポジティブ子育て法に関する保護者への研修の実施

• ポジティブ子育て法のプログラムも軌道に乗り、年間目標を達成しました。

5つの州(バッタンバン、シェムリアップ、カンダル、バンティメンチェイ、ラタナキリ)の1,248人の親と保護者(女性982人、障害のある親と保護者15人)が、女性省(MoWA)によるポジティブ子育て法に関する研修(レベル1)を受け、障害のある子ども29人(女の子13人)を含む2,110人の子ども(女の子1,264人)がその恩恵を受けました1。
• ユニセフのパートナー団体であるNGO(ICS-SP)が行った2020年の調査で、ポジティブ子育て法プログラムが親、保護者、子どもたちの行動変容にプラスの効果があったことがわかり、ユニセフは女性省(MoWA)に対して、その効果を最大限にするためにプログラムの内容や実施方法を変更するよう支援しました。これには、男性がポジティブ子育て法プログラムへの参加を促進することや、子どものオンライン上での保護や心理社会的支援(MHPSS)などの新たな問題に関する情報をツールキットに統合することなどが含まれます。ポジティブ子育て法プログラムの効果を継続的に評価するために、ユニセフは報告期間中にも女性省(MoWA)に支援を行い、ポジティブ子育て法プログラムの評価を実施し、2022年に評価結果がまとまる予定です。
• ユニセフからの継続的な働きかけにより、報告期間中に女性省(MoWA)の上級管理職は「ポジティブ子育て法ツールキット・レベル3」を承認しました。ユニセフは、研修のツールキット・レベル3の850部の印刷を支援し、2022年の第1四半期に発売・普及させる予定です。ユニセフはまた、国立社会問題研究所と協力して、ツールキット・レベル3をソーシャルワーカーの国家研修カリキュラムに統合し、特に弱い立場にいる親や保護者の支援に関する社会サービス従事者の能力強化のための体系的アプローチを推進しています。

ポジティブ子育て法の啓発ポスター

女性と子どものためのコミューン委員会(CCWC)の担当責任者であるスレイ・マオは、ラタナキリ州ウチュム地区ラアク村で啓発活動を推進しています。© UNICEF Cambodia/2021/Khiev Pharin

 

現地のストーリー

ポジティブな子育て法が持つ力
~ラタナキリ州の遠隔地にある少数民族コミュニティの視点を変える~

チャ・ウン・カット村のファン・チャンニーさん

© UNICEF Cambodia/2021/Khiev Pharin

カンボジアのラタナキリ州にある農村地域のコミュニティ、チャ・ウン・カット村で、ファン・チャンニーさんは自身の4歳の子どもと近所の子どもたちと一緒に、家の前の木の階段で休憩しています。チャンニーさんが手にしているのは、ポジティブ子育て法に関する地域の研修に参加した際にもらったポスターです。子どもたちが熱心に耳を傾ける中、彼女はそれぞれの絵に書かれていることを丁寧に説明します

どもへの教育の仕方がよくわかるようになりました。怒っても、怒鳴ったり叩いたりせず、穏やかで優しい言葉で説得するようにしています。そうすると、娘たちは私の話をよく聞いて理解してくれるようになり、高い木に登ったり、危険な遊びをしなくなりました」。
チャンニーさんの住むチャ・ウン・カット村はバンルン市から約15kmのところにあります。この地域の多くの村と同様、住民のほとんどはクレウン族の人々です。村には保育園がないため、チャンニーさんは幼い子どもたちを家で教えています。
彼女の村では、親が子どものしつけのために身体的あるいは言葉の暴力をふるうことが珍しくないといいます。児童婚も多く、学校教育よりもお金を稼ぐことが優先されることも少なくありません。さらに、ほとんどの家庭が遠隔地に住んでいて、社会サービスを受けることができません。 ポジティブ子育て法のようなプログラムは、親やコミュニティが幸せで自信に満ちた子どもを育てるスキルを身に着けるために不可欠です。

「ポジティブ子育て法のセッションで学んだことを実践するようになってから、娘たちはより注意深く、より早く記憶し、より学ぶことが好きになりました」とチャンニーさんは言います。 ポジティブ子育て法の研修で学んだコミュニケーション能力は、子どもへの直接的な影響にとどまりません。チャンニーさんは、特に機嫌が悪い夫とコミュニケーションをとる際にも、このテクニックを実践しています。この方法は、家族の緊張を和らげ、チャンニーさんと彼女の夫が親としての役割と責任をよりうまく分担するのに役立っています。

 

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