【ネパール指定募金】「児童労働と闘う」第3次指定募金 終了報告

ご協力ありがとうございました―募金実績

2014年1月より2018年11月30日まで取り組んだ「児童労働と闘う」ネパール指定募金は終了しました。

5年にわたる皆様のあたたかいご支援に御礼申し上げます。

拠出額合計 67,912,286円(US$616,400.70)

皆様のご支援による成果(2020年 第5次最終報告書より)

皆様からお寄せいただいた指定募金により、ユニセフが支援するネパール国内14※の自治体では、以下のことが実施できました。
※もとは 15の自治体でしたが、政府により地方自治体が再編成され 14自治体となり、結果的に本プログラムの地理的な実施範囲も拡大しました。

活動1:子どもの保護と児童労働における情報管理システムの整備

■ユニセフの技術支援により、対象とする自治体による児童労働のデータ収集、情報の維持管理、ユニセフへの報告ができるようになりました。また自治体が“児童労働のない自治体宣言”に向けた自らの達成状況の進捗を確認できるようになりました。児童労働に携わる子どもたちを可視化することは、児童労働問題を認識してもらうため、そして子どもたちのニーズに応じた戦略を可能とするために重要です。

 

活動2:児童労働の危険にさらされている子どもとその家族への社会復帰サービスの提供

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ホテルで働いていたサガ君(13歳)とその両親。支援されたヤギ2頭と一緒に

■これまでに、最も過酷な形態の児童労働を強いられている子どもたち計1,618人(女子848人、男子770人)が家族のもとに戻ることができました。これらの子どもたちは個々のニーズに応じて社会復帰サービスや心理カウンセリング、教育支援、親や雇用者との調停など様々なサービスを受けました。

計3,783人(女子2,130人、男子1,653人)が教育の場に戻りました。最近になって学校からドロップアウトした子どもに対しては、必ずしも都市部の非正規教育プログラム(UOSP)を勧めず、正規の学校にスムーズに戻れるようにしています。

働く子どもたち682人(女子464人、男子218人)が職業訓練を受け、訓練で得た技術で自営できるようになりました。例えば美容室、縫い物あるいは仕立て、調理、レストラン、ヤギまたは鶏の飼育、小規模商店などです。必要な子どもたちに対しては心理カウンセリングを実施しました。

 

活動3:児童労働と闘う自治体の能力強化と制度強化

 

 

子どもクラブの卒業者たちが子どもの保護と児童労働についての研修を受け、さらに各自治体に戻りそれぞれの子どもクラブの子どもたちに研修を実施しました。子どもクラブの卒業者たちは、各自治体が拡大している社会・行動変容を促す活動を支援することが期待されています。これらの人たちが、今度は各自治体において児童労働を撲滅する社会運動を促すために人々や地域社会に働きかけを行います。

■また、自治体職員やコミュニティと子どもの保護の関係者3,135人(うち女性1,684人)を対象に、児童労働と子どもの保護に関する研修を行いました。

 

活動4:社会的動員と行動変容のための広報活動

 

 

■児童労働の社会的な容認を阻止する行動変容のための広報活動では、研修やイベント、社会運動、ストリートパフォーマンス、戸別訪問キャンペーンなどを通じて計63万5,020人(女性31万8,949人、男性31万6,071人)にメッセージを届けることができました。

■こうした広報の効果もあり、これまでに、75の村(TLOs2)が児童労働からの解放を宣言しました。同様に、26の区(Ward)が子どもにやさしい地区と宣言しました(59,363世帯、人口27万3,518人)。

 

活動5: 調整、 モニタリング、司法的サポート

 

 

■各自治体は関係省庁職員や市民団体など郡や市レベルでの子ども保護の関係者と共に、このプログラムのふり返りを行いました。すべての自治体は 2020年末までに 、 子どもにやさしい地方自治の宣言ができるよう行動計画を準備中です。ユニセフはその取り組みを技術的に支援しています。
■また、ユニセフは児童労働プログラムの計画作成 ・調整・ふり返りのミーティングを実施するための技術的な支援を連邦・中央政府レベルと14の自治体レベルで実施しました。

 

2016年11月 ネパール現地視察を実施

2016年11月6日~12日に、ユニセフの支援が実施されている南ネパールの8つの自治体を訪問しました。今回の視察した地域のうち、特に中・西部は、地理的にも不便なことから社会的にも経済的にも発展が遅れ、子どもの権利の観点からみるとネパールの中で最も発展が遅れています。この3つの自治体では児童労働の割合が50%、児童婚は52%と、ネパール全国の平均を上回っています。また、子どもへの体罰も多く、子どもの性的虐待が多い地域の中の一つです。

子どもたちを学校に戻す活動

「アウトオブスクール」は児童労働のために学校に通えず、学習が遅れている子どもが通う学校です。学校の一般的な授業を10カ月の在籍中に学びます。その後、学力診断を行い子どもたちは学力に合った学年に戻っていきます。スムーズに就学できるように市の教育局と学校と連携を取っており、ユニセフはこれらのシステムのサポートや先生の2週間の研修の支援を行っています。(写真はアウトオブスクールの先生(中央)と10~14歳の生徒20名。土曜日以外の毎日2時間15分の学習をする)

子どもにやさしい自治体をめざして

視察した各市は、様々な問題を抱えながらも。特に印象的だったのは、区や村の自治会レベルのコミュニティ内での児童労働撲滅に関する活動が活発だったということです。そこでは住民の意識の変化があり、広報活動の効果が顕著に表れていました。そして、これらの地域の児童労働を経験した子どもとその家族のお話しを聞くなかで、ユニセフと市役所、区や村や自治会の連携によって社会復帰した子どもが確実に増加していることが確認できました。それと同時に、住み込みの家事手伝いに従事したり、出生登録がされていなかったりする子どもが多く、児童労働の実態が把握しにくい課題があることも見えてきました。今後も、住民の経済的自立や児童労働の撲滅と予防のための“継続した支援”が必要であることを再確認しました。

2016年11月 スタディツアー報告書PDF
現地のストーリー 「一家への経済的支援により児童労働から解放されたスワティさん」

スワティさんは母親とインド料理店で働いていましたが、弟が生まれたことでその仕事ができなくなりました。
そこで今度は、寺院を参拝する時に使用する紐のふさを付ける内職を始めました。ある日、民間団体が学校に行かずに働くスワティさんを見つけて市役所に通報し、市役所はスワティさん家族にビジネスカウンセリングを行いました。スワティさんが教育を受けることを条件に12,000ルピー分のおかし(ビスケットやスナック類)を提供し、父親が自宅の一部をお店にしてこれらを販売し始めました。お店を始めて7カ月、順調に利益が出ているそうです。(スナック類は1個の販売につき1~2ルピーの利益。)また、貯蓄の習慣をつけるために3,000ルピーの支援で口座を開設させました。毎日100ルピーの貯蓄をすることができています。

報告書アーカイブス

第5次報告書(2020年)…2019年のプロジェクトの最終報告

第4次報告書(2019年)…2018年のプロジェクトの活動報告

第3次報告書(2018年)…2017年のプロジェクトの活動報告 

第2次報告書(2017年)…2016年のプロジェクトの活動報告

第1次報告書(2016年)…2015年のプロジェクトの活動報告

現地視察報告書

【第3次指定募金】児童労働と闘うネパール指定募金 概要

1.実施期間

(1) 募金の取り組み 2014年1月~2018年11月末

約50,000,000円(10,000,000円×5年間)

(2) ネパール事務所の事業実施 2015年1月~2019年12月末
※お寄せいただいた募金は、年度末にまとめて(原則1回)送金するため、現地事務所での事業開始は1年遅れてスタートします。

2. 募金計画

(1) 現地での事業予算
社会サービスの提供、子どもにやさしい司法、啓発活動等 500,000米ドル
(2) 募金目標額

※1米ドル=100円で試算。為替変動により修正する可能性があります。

3. 支援対象

・ネパールに住む300万人の子どもたち
・約30,000人の子どもたちが直接的な支援で恩恵を受ける

4.活動する場所

・6つの郡における10の自治体(都市部)
・15の不利な立場にある郡

5.事業内容(計画)

(1)児童労働や他の危険に防止・対応するために、国家的な子ども保護システムの育成・強化。法律や政策の改革、複数の部門や当事者による活動計画の組織化やモニタリング、組織的な能力開発、国家規模/地域規模でのデータや事例収集の強化を含む。
(2)有害な児童労働にかかわっている子どもたちや、虐待・ネグレクト・搾取などの被害にあっている子どもたちの防止や救助、復帰のための質の良い社会的支援の提供。
・電話(SMS含む)のヘルプラインの設立。
・一時的なシェルター、心理的なカウンセリングや法的・医療・生計を立てるための照会、非公式・公式もしくは職業訓練の教育支援を行う。
(3)保安や司法の政府組織へのトレーニングや、子どもにやさしい(child-friendly)サービスの施行支援を通じて、労働搾取や虐待の被害者や法廷闘争中の子どもたちに対し「子どもにやさしい(child -friendly)司法」を提供する。
※child -friendly=「子どもに配慮した」「子どもの権利を充足させた」
(4)児童労働や他の危険性について、子どもたち、家族、コミュニティや社会の意識を高める。
・国家的なコミュニケーション・キャンペーンや、コミュニティに根ざした仕組みの支援。
・地方政府の教師や保健員、コミュニティの調整役、地方役人や雇用主を含む子ども保護コーディネーターのトレーニング支援を行う。
ネパール日干しれんが工場

ー神奈川県ユニセフ協会が取り組む指定募金ー
特定の国や地域、特定の事業を指定して支援を行う”指定募金”は、年間10万ドルの活動資金を3年又は5年の計画で継続して送ります。支援先の選定にあたっては、ユニセフ現地事務所からの提案を受け、運営委員会やボランティアミーティングでの意見を踏まえ、理事会で事業内容や規模・予算等を勘案して決定していきます。期間中は毎年ドナーレポート(計画の進捗状況や子どもたちの状況、課題などをまとめた報告書)が送られてくるほか、中間年にはスタディツアーを行い現地を視察します。
これまで、第1次指定募金「ラオスの子どもたちを人身売買から守る」、第二次指定募金「モルディブの栄養と環境教育」に取り組んできました。

 

 

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