【カンボジア指定募金】第3次報告書:ご支援による成果(2022)

皆様のご支援による成果(2022)

皆様からお寄せいただいた「暴力と虐待からカンボジアの子どもたちを守る」指定募金により、2022年には以下のことが実施できました。

活動1:ポジティブ生徒指導法に関する教員研修の実施

• ポジティブ生徒指導法と効果的な学級運営に関するオンラインコースが完成し、教員研修をハイブリッド方式で受講できるようになりました。この手法により、1,067人の教師が参加し、35,556人の子どもたちが恩恵を受けることができました。
• 214人の小学校教員(女性183人、男性31人)に対して、カンボジア国内で新たに導入された「学校における子どもの保護指針」に関する研修を行い、7,133人の子どもたちに恩恵をもたらしました。同指針には、子どもの保護の手順と相談・照会方法などが含まれています。
• 学校におけるポジティブ生徒指導法の導入によるメリットをより理解し、今後のプログラム実施の指針とするための調査研究を委託し、データ収集を継続中です。最終の調査報告書は2023年の第1四半期を予定しています。

©UNICEF Cambodia/2022/PDoWA

©UNICEF Cambodia/2022/PDoWA

(上左右写真:学校での生徒指導法、特に怒りのコントロールとロールモデルの重要性について教師を研修するようす)

 

活動2:ポジティブ子育て法に関する保護者への研修の実施

• 7つの州(プノンペン都、バッタンバン州、シアムリアップ州、プレア・シハヌーク州、カンダル州、ラタナキリ州、バンティメンチェイ州)の1,550人の親と保護者(女性1,240人と障害のある親と保護者10人)が、女性省(MoWA)によるポジティブ子育て法に関する研修(レベル11 )を受け、9人の障害を持つ子どもたち(6人の女の子)を含む2,167人の子ども(1,067人の女の子)がその恩恵を受けました。
• 女性省(MoWA)が社会問題・退役軍人・青少年更正省(MoSVY)と共同で開発したポジティブ子育て法に関する研修「レベル3」のツールキットを発表しました。このツールキットは、実際に子どもに対する暴力が過去に発生した家族に専門的な支援を提供するために、ソーシャルサービス従事者の能力を強化することを目的としています。この発表会には、25の州の女性局代表や、NGO、その他の関連団体からの参加者を含め、合計267人が参加しました。オンラインイベントは、2022年2月7日に女性省の大臣が議長を務めました。

©UNICEF Cambodia/2022/PDoWA

©UNICEF Cambodia/2022/PDoWA

(上左右写真:シェムリアップ州とラタナキリ州で行われた親がストレスに前向きに対処できるようにするための保護者グループ会議のようす)

 

現地のストーリー

 ポジティブな生徒指導法が持つ力
~カンポット州の公立学校の成績を向上させる~

アンコール・チュム小学校
■生徒 ラティさん/ケマさん

ポー・ラティさん(13 歳)と友人のペン・ケマさん(10 歳)は、最近一緒に 6 年生になったクラスメートで友人です。ラティさんにとっては、カンボジアの公式な教育を受ける初めての年です。2018 年まで彼女は出稼ぎ労働者の両親とタイで暮らしていましたが、2018 年に 8 歳で母親とカンボジアへ帰国しました。その後、アンコール・チュム小学校で勉強を再開できるよう、補修クラスに入りました。カンボジアの補修プログラムは、さまざまな理由で学校教育を受けられなくなった子どもたちを支援するためのものです。

© UNICEF Cambodia/2022/Sea Sokhon

アンコール・チュム小学校の校庭にあるキオスクの下に座る

ケマさん(左)とラティさん(右)

ラティさんは当初、学校へ通うことに不安を覚え、クラスの雰囲気や先生を恐れていました。しかし、幸いにも担任の先生と校長先生のおかげで、彼女は楽しく学校に戻ることができました。これは、ユニセフの支援のもと、教育・青年・スポーツ省がカンポット州の教師や校長を対象に実施した「ポジティブ生徒指導法プログラム」の研修で身につけたスキルの賜物です。
この研修は、教育従事者が子どもに対する暴力を防止し、前向きな指導と効果的なクラス運営を促進するのに役立っています。もしラティさんが遅い年齢で学校に通い始め、厳しい指導を受けていたら、自信を喪失し、学校から遠ざかっていたかもしれません。しかし、彼女は今、生き生きとしています。「最初はタイ語が少ししか読めなくって……。クメール語の読み書きができなかったんです」と笑顔で話します。「今は、ちゃんと読み書きができるようになったので、とてもうれしいです。友達みんなと同じように公式のクラスに入ることができています。先生はいつも私を助けてくれて、私が理解し、早く学べるように優しく説明し、教えてくれます。」
一方、彼女の友人であるケマさんは、海外で育ったことはなく、家族と一緒に暮らしていますが、学校に通い始めた当初から学習面での課題に直面していました。彼女は、学校で「ポジティブ生徒指導法プログラム」が導入され始めてから、先生たちの違いに気づき、とても喜んでいる生徒の一人です。彼女はクメール語と社会科を学ぶのが好きで、素晴らしい進歩を遂げていますが、それは先生と学校の安全な学習環境のおかげだと考えています。「私の担任の先生は親切で、優しくて、面白い人です。授業の説明もわかりやすく、正解した生徒や良い行動をした生徒には拍手をして褒めるよう、みんなに言ってくれます。」

© UNICEF Cambodia/2022/Sea Sokhon

アンコール・チュム小学校の 6 年生の教室。ケマさんは授業中、立ち上がって先生の質問に答えています。

 

ラティさんとケマさんは、学校で体罰を見たことがありません。しかし、彼女たちは道徳心を持ち、また学校で規則が破られた場合に学校がどのように対応するかについては知っています。規則を破った生徒は、しばらくの間、行動を改めるまでテーブルに一人で座るように言われたり、名前と悪い行動を記録化して、教室の前にある「生徒指導箱」に入れられたりすることがあります。この「生徒指導箱」は、毎月末に担任の先生と生徒が開けて、良い行動と改善点を認識するために使われます。

 

 

 

ページトップ